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​私は「生きる権利」「死ぬ権利」という言葉にハッとした。

塚本薫(FMアップル専務取締役局長)

死刑囚が自らの刑の執行日を決定できる『執行日選択権』が与えられるという架空の設定の中の死刑囚と面会人の2人芝居。自殺志望者を7人殺した女性死刑囚。最近どこかで聴いた話だが、なんと記憶をなくして殺人を犯したのかがわからないまま死刑囚となっているという衝撃的な設定。そして不思議な雰囲気を醸し出す2人の芝居に少し興味が湧いた。

アクリル板で隔てられた空間に2人だけという舞台なのに凄い臨場感。私は配信で観ましたが、リアルだったらと想像するとかなり心臓の鼓動が・・アップ!

支援者として面会に来た男の真の目的、それを見抜いた女の交換条件は獄中結婚。

面会するごとに明らかになる事実やお互いの心のうちがなんとなく切ない。

2人の距離感が縮まったり、開いたり・・。様々なトリックというのか事実がどんどん舞台を盛り上げていくのと同時にどんどん引き込まれていきました。

私は「生きる権利」「死ぬ権利」と死刑囚が発した言葉にハッとした。これはどちらが重いのだろうか?こんな事を考えてもいなかった自分を発見し、ちょっと突き詰めてみた。凄く考えたがどちらも運命、天命だなと思う。権利ではくくれないものだ。

なのにその選択を迫られた時の人間の心理とはいかばかりかと思うと心が苦しくなりました。飛世さん!苦しいよね!と・・。この時点でかなりの感情移入(笑)

人間は何かのタイミングで取り返しのつかない過ちを犯してしまう生き物なのだとも思った。芝居のタイトル【異邦人の庭】、これは聖書特有の言葉だそうだ。罪を犯した人間もそうではない人間も誰もが入れる庭と舞台では表していた。死刑囚のあらゆる感情を彷彿させたタイトルの意味を知って、またまた秀逸だ・・。彼女の選択が気になるところでもありますが、お2人の演技力と併せて映像・演出・脚本とにかく素晴らしいお芝居でした。今度はリアルで観たいです!!

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