​久しぶりの体験です

『秘すれば花』。
想像の余地があれば、その舞台は無限に広がっていきます。この演劇がまさにそうでした。

アクリルパネルを挟んだ拘置所の面会室というシンプルな舞台の上で、たった二人の俳優が、大きなアクションをするわけでもなく淡々と会話をするお話。
それだけだからこそ、少しずつ明らかになる「なぜこの二人がこの場所で出会うことになったのか」の理由について、観ている私は想像力を刺激され、最後まで目が離せませんでした。
素晴らしい台本でした。

そして言うまでもなく、俳優の演技も素晴らしかったです。お二人には何度か直接お会いしたこともあるのですが、気が付けば完全に『その役の人物』として見入っていました。久しぶりの体験です。
序盤、セリフと相手への反応に違和感があったのですが、その理由が終盤にあきらかになったときのあの快感。台本を読むだけでは感じられない、本と俳優の演技が合致した、演劇ならではの醍醐味だと思います。

舞台の魅力を映像で伝えるのはとても難しいですが、この作品は舞台作品としても映像作品としても見事に完成されています。
ぜひご覧いただきたいです。